こんにちは、JOSUIの中村です。
新規事業・研究開発リーダーに向けたメールシリーズ「未来を造る人になる」の第32回です。
今回は、「本当の顧客を知る」というテーマで書きました。
前回のエントリーは こちら 。
メールのバックナンバーは こちら からご覧ください。
本当の顧客を知る。
■シマノの事例
システムコンポーネント(ブレーキと変速機の一体化した自転車部品)で有名なシマノです。
シマノの顧客は言うまでもなく自転車を製造・販売するセットメーカーです。
シマノにとっての本当の顧客は誰でしょうか?
それは、セットメーカーではありません。
セットメーカーの先にいる自転車ユーザー、自転車屋さんなのです。
つまり、研究開発のために、自ら自転車屋さんに出向き、自転車がどのように壊れるのか、ユーザーがどのように自転車に乗るのかを聞いているのです。
そのため、セットメーカーに聞かずとも、部品が壊れる状況、頻度などの情報を持っています。
そうして、自ら研究開発アイデアを考案、テーマを設定して市場をリード出来るようになっているのです。
シマノがシステムコンポーネントで圧倒的な力を持っていることの秘密は、「顧客は誰なのかを問いなおすこと」にあったのだろうと思います。
■未来工業の事例
未来工業も本当の顧客は誰かを問い直した事例です。
未来工業は電気設備資材などの製造販売をしており、スイッチボックス(コンセントなどの配線器具を取り付ける際に必要な資材)の国内シェアは8割を占めています。
未来工業の直接の顧客は、スイッチボックスを卸してくれる問屋です。
しかし、未来工業は問屋さんに開発のヒアリングをしません。聞いても必要性を知らないからです。
スイッチボックスのユーザーは大工さんです。
そこで、未来工業では、大工さんへのヒアリングをするために、一次問屋との付き合いを少なくしています。
大工さんに近い二次問屋と直接付き合うことによって、開発ニーズを直接ヒアリング出来るようにしているのです。
未来工業が、本当の顧客は誰なのかを問い直さず、従来通り、一次問屋との付き合いに重点を置いて開発を継続していたら、開発アイデアやテーマをうまく出すことが出来なかっただろうと思われます。
結果として、スイッチボックス国内シェア8割という現状はなかったものと思われます。
本当の顧客は誰なのか、問いなおすことの重要性を感じます。