♫三井のリーハーウースー♫
先日、不動産に関わる機会があったため、複数の不動産仲介会社と接触しました。
不動産に関わる機会など人生で滅多にないもの。
どこにどう接触したらいいのか、分かりません。
私が頼ったのは、テレビコマーシャルで有名な、冒頭の三井不動産リアルティ(通称、三井のリハウス)でした。三井のリハウスさんは、電話応対も、お会いしても紳士的な対応でした。悪く言えば、営業っぽくない。大きなことも言わないし、泣き落とすようなこともしない。「電話よりもメールがいい」というこちらの要望にも応じてくれました。その後のフォローも紳士的。メール中心で、押しは強くはないものの、付かず離れずのスタイルです。
同時に頼ったのは、不動産会社としては、三井と同規模の某社。テレビCMはしないにせよ、ポスティング・チラシ(ポストにダイレクトに入れるチラシ、大抵の場合、「家を売ってください」という内容)で目にする会社です。コンタクトする前までは、三井と某社に差異は感じていませんでした。しかし、家を訪問していただき、何度かコンタクトすると、全く違うことに気づきました。
某社が、こちらが「電話よりもメールが良い」と言っているのに、何度も電話してくるのです。
卑近な表現で大変恐縮ですが、一言で言えば「ウザい」です。
二度目以降は電話に出ずに、メールを送ることにしました。
その後、三井からも某社からも、売却提案書というのをいただきましたが、三井はデータも豊富で、価格にも納得が行きます。某社の提案書はデータが一つ。それを元に、XX円という価格を弾いているのですが、説得力が低い。営業段階では、XX円よりも「はるかに高い価格で売れる!」と言っていたのに、です。
三井と某社の営業の方法をこのように理解しました。
某社
ポスティング・チラシで電話をもらい、XX円という評価よりも、「高く売ります!」という営業担当者の、言わば、人情に訴える営業。電話攻勢。
三井のリハウス
テレビCMで出来るだけ多くにリーチして、問い合わせを待ち、フェアバリューを最初から提示して人情や電話には頼らない。売り手、買い手の意思決定に委ねる営業。
営業部門の単位で考えてみると、よく言えば、某社は「攻め」、三井を悪く言えば「待ち」、です。
企業の単位で考えてみましょう。誤解を恐れずに端的に言えば、某社は恐らく短期視点で向こう1、2年の売上利益が大事、三井は長期視点で信用が大事。
集客力の差は、経営者の考え方の差
両者にこうした差をもたらすのは何か、と言えば、それは経営者の考え方に尽きるのではないかと思います。
どちらが優れているということは判断出来ません。なぜなら、某社も老舗と言われる部類に入る有名企業グループの一社だからです。
しかし、テレビCMによって集客をしてお客さんの意思決定に委ねるというスタイルと、ポスティングで「家を売ってくれ」と売却物件を集めて、低価格を提示しつつも人情に訴えるスタイルと、どちらが私に合っていたかといえば、明らかに前者(三井)でした。
どっちが好き?
私が問いたいのは、良し悪しではありません。好みです。
皆さんは、どちらのスタイルで自分の製品を売って欲しいと思うでしょうか?
私は営業にも長く携わってきました。色々なタイプの営業マネージャーがいることも知っています。無理して「押しこむ」タイプもいれば、信用を第一にする人もいます。経験から言えば、営業マネージャーの資質は経営者に依存します。経営者が短期型なら営業マネージャーも短期型、その逆も然りです。
私の好みは長期型です。長期的に信用を積み重ね、付加価値を向上させていくことこそ、企業経営だと思います。
中長期の成果を求めるための営業とは?
信用の積み重ねに短期的な成果を求める「押し込み」タイプの営業は必要ではありません。信用を積み重ねるためには、三井タイプの、「押しは弱いが、意思決定を待ってくれる」営業が良いのではないかと思います。
本気で企業経営に携わる我々にとって、「押し込まなければ売れないもの」を売りたいとは思わないでしょう。そう思って欲しい。
しかし、それには重要な前提があります。
集客です。
三井で言えば、テレビCMです。
広く告知しないと、待ってても忙しい状態はありません。
待ちのスタイルで営業するのは難しいのです。
電話をかけまくって営業攻勢をかけるのが営業の仕事ではありません。
本物の良さを顧客に提案して、課題解決をするのが仕事です。
集客力にWEB、SNS、SEOが大事な手段
今やインターネットは情報収集に欠かせない道具となりました。購買者が何か欲しいと思った時に、情報に辿りつけない場合、それは市場にないものと同じです。
本質的に顧客価値を発揮出来る商品を開発した場合、売る仕組みが必要なのは言うまでもありません。そのために必要なのは集客力。
集客力とは、本物が分かる人、買いそうな人を集める力です。そして、複数の提案をして、実際に買ってくれる人、意思決定できる人を待つのです。
コモディティに近い不動産ではテレビCMも良い手段です。
では、高付加価値品の宣伝手段は何でしょうか?
皆さんの会社は、信用蓄積型の営業スタイルでしょうか?それとも、短期型の営業スタイルですか?
大事なのは広告宣伝にかかる費用と知恵
BtoB企業では、広告宣伝に対しての費用をある程度かけています。しかし、多くの場合、かける費用が十分でないか、知恵が足りないかのどちらかです。
自社製品・サービスの価値を認識すれば、展示会への展示内容もインターネット上の告知内容も自ずから決まるはず、全てが変わるはずです。
集客力を高めるためには、皆さんの会社では何をしていますか?