経営者が社員のやる気を作る  〜未来を造る人になる〜 #57

先日、打ち合わせで面白いことを聞きました。

お話をしてくださった方を、仮にAさんとします。
Aさんは大変アイデア豊富な方です。話はAさんも参加していたとある大手企業の開発会議でのことです。事業テーマのブレストだったそうです。

Aさん 「こういうアイデアもあります」

一同 「・・・」

Aさん 「別の視点ではこういうアイデアもあります」

Aさん 「さらにはこういうアイデアもあります」

一同 「・・・」

事業部長 「Aさん、それは、うちの会社でやることじゃない」

というやりとりがあったそうです。

それを聞いて私が思ったこと。
(…その事業部長、ダメですね。)
Aさんはアイデア豊富な上、とてもクリエイティブな方です。ネタを豊富持っている。つまり引き出しが多いのです。

私がダメだと思ったのは、一言も肯定せずにいきなり否定したこと。

ダメです。それは。

採用されないアイデアがあるのはみな百も承知しているはずです。それでも色々考えてアイデアを出しているわけですよね。

否定するにしたって、否定の仕方だって色々あるわけです。

単なるテクニックの話ではありません。
事業部長がいきなり否定した背景に何があったのかを考えました。

恐らく、その事業部長は、その事業を長期的に育てて行くことを考えていないだろうな、と想像しました。

もし考えていれば、事業テーマを次々に考案するAさんを重用するはずだからです。少なくともAさんの意気をくじくような発言はしないはずです。

その事業部長は、よく考えていないか、確信犯か、どちらかということだと思いました。

事業部長の話なので、厳密には経営者ではないのかもしれません。

しかし、経営者であれば話は別です。

上の話の事業部長が、もし理想の社長だったら、どう回答しただろうか、と思います。

恐らく、一つ一つのアイデアに価値があることを認めて、少しでも可能性があるものがあれば、それを取り上げ継続検討をしたのではないかと思います。

なぜかといえば、理想の社長は、アイデアはキッカケにすぎないですし、なにより大事なのは社員のやる気だからです。

いきなりの全否定ほど、やる気を削ぐものはありません。

やる気のある人を、制限のある中で、いかに生かしていくのか。

アイデア豊富な人は、経営のことが分からない事があります。だから、とんでもないことを言うこともある。それは当然です。

いい経営者であれば、経営のことをその人に教えるのではないでしょうか。そして、考える材料を増やす。そして、アイデア豊富な人のアイデアを、シャープなものにする。

そうなれば、やる気も上がる、会社もいい状態になるというものです。

経営者の皆さん、どのように行動されているでしょうか?