アイアンシェフ打ち切りと放送局のジレンマ

フジテレビが、アイアンシェフという番組を打ち切るという報道があります。

若い方はご存知ではないかも知れませんが、もとになった番組、「料理の鉄人」はそれはそれは面白い番組で、長く続いたものでした。それの焼き直しとあって、個人的には非常に期待していたし、面白いと思っていたのですが、非常に残念です。

番組打ち切りの真偽のほどは分かりませんが、打ち切りにはそれ相応の理由があったのでしょう。テレビ番組打ち切りの主な理由は視聴率が取れないことですが、恐らく今回も同じような理由でしょう。

何を言いたいかと言うと、アイアンシェフには数千万円(数億?)もするセットや豪華な食材がふんだんに使われています。この豪華さ・派手さが視聴率につながるという読みが時代に合わなくなってきているという事です。また、視聴率が出ないからすぐに番組を打ち切るという考え方も同じです。

放送と通信の融合が叫ばれて久しいですが、テレビ業界自体はほとんど変わっていない実態を示しているように思います。まさにイノベーションのジレンマの真っただ中にある放送局ですが、規制に守られない電機業界に比べて競争環境はかなり緩やかと言えます。

どんな会社でも、イノベーションのジレンマにはさらされるのですが、テレビの業界はどんな対処が出来るのでしょうか?

ネット放送局の設立やベンチャーキャピタルの運営など、放送局も次々と対策を打ち出していますが、私は放送という事業の外部で何かするというのも非常に大切ではありますが、私は放送事業そのものの人事に問題があるのではないかと考えています。

つまり、ネットと放送は別ではなく、すでに同じなのです。そうだとすると、番組の制作や評価についても豪華さや視聴率以外の全く異なる概念を持ち込む必要があります。その概念とは何かを考える必要はあるものの、今の業界にそうした異質なものを受け入れる事が出来る人事制度があるかが非常に大きな問題だと思います。

大雑把にいえば、

異質が出世すれば、企業は存続します。

異質が排除されれば、企業は衰退します。

ということです。

異質を出世させるのは、トップが決めることです。放送業の存続は、トップの頭の柔らかさにかかっている、そう思えてならないニュースでした。