こんにちは、JOSUIの中村です。
クリスマスをいかがお過ごしになられましたか?
私は、ごちそうを食べて、ケーキを頬張り、今朝、子どもにプレゼントをあげて、とごくごく一般的な過ごし方でした。すごくリラックスできて、良い時間を過ごせました。
このメールも年内はこれで最後にしたいと思います。読んでくださった皆様、ありがとうございました。来年もよろしくお願い致します。
さて、新規事業・研究開発リーダーに向けたメールシリーズ「未来を造る人になる」の第19回目です。
今回は、「#19ダントツ化フレームワークその2」というテーマで書きました。
前回は、「#18ダントツ化フレームワーク」というテーマで書きました。
前回のエントリーは こちら 。
メールのバックナンバーは こちら からご覧ください。
前回のメールでは、ダントツ化フレームワーク「頼らない」について書きました。 ビジネスモデルを変革するには、環境変化にいち早く気づくことが重要だと書きましたが、いち早く気づいてビジネスモデルを変革することがうまくできれば、高収益のビジネスモデル(ダントツビジネスモデル)を作ることが出来ます。
今回も、ビジネスモデルの変革についていくつか事例を挙げたいと思います。事例を挙げながら、ダントツ化のためのフレームワークをご紹介しましょう。
<競争しない>
ダントツ化フレームワークのもう一つは「競争しない」というものです。
「競争しない」ということは、ブルーオーシャン戦略、差別化などなど様々な言葉で語られます。
経営学的な表現は色々とあるのですが、要はこういうことだと思うのです。
顧客が、商品やサービスを購入するときに、比較対象がないこと。
「これしかない」「これがいい」、という状態をいかに作るのかということに尽きると思います。
言葉を変えると、「指名買い」です。 指名買いで思いつくものを挙げてみます。
<BtoCの場合>
●BMW
ターゲットは、Social Climber
顧客価値は駆け抜ける歓び(車ではない)
●ハーレー
ターゲットは、ハーレー的な価値観に共感する人
顧客価値はハーレー的(アメリカ的)なライフスタイル(バイクではない)
●シャア専用◯◯(車、パソコン)
ターゲットは、シャアマニア
顧客価値はシャア的な外観やシャアファンとの交流(製品そのものではない)
● フィアット500(チンケチェント)
ターゲットは、チンクのファン
顧客価値はかわいらしさ。
その他にも色々あります。
BtoBを見てみましょう。
<BtoBの場合>
● キーエンス
ターゲットは、メーカーのライン
顧客価値は自社のラインにバッチリ合った、気が利いたセンシング(センサーではない)
●シマノ
ターゲットは、自転車の完成品メーカー(ブリヂストン、ミヤタ等)
顧客価値は、シマノInside自転車を売ることで自社製品が売れること(システムコンポーネントそのものではない)
●本多プラス
ターゲットは、化粧品メーカー等
顧客価値は、デザイナーによる気の利いたデザインと成形の一体提供。ワンストップで量産まで担える体制。
<競争しない企業の特徴は?>
「競争しない」を実現させている会社の特徴を見てみましょう。
・ 市場シェアを目指していない。
例えば、BMWは生産台数200万台弱の中小メーカーですが、高い利益率を誇ります。
・ 製品やサービスそのものを売っていない。
顧客価値の定義に沿った付加サービスやブランド、製品そのものの性能を売っています。例えば、本多プラスは、ブロー成形の成形品を売っていません。化粧品屋さんが困るであろう、売れそうなデザイン、CADでの設計、成形できるかの可能性判断。社内ではできない判断をデザイナーと成形技術者が一体となって提供しています。
・ そもそも競争にならないやり方になっている。
ハーレーなどは、バイク屋さんなのに、オーナーズクラブを開催したり、アメリカン・ライフスタイルを売っています。 バイクの性能では競争していないのです。
・ 競争になったらやめる習慣がある。
キーエンスはセンサーが模倣されても価格を下げません。キーエンス製品は高いため、競合が現れれば注文が入らず、自然と淘汰されます。
<商品・事業開発者への示唆>
さて、色々と事例を見てきたのですが、我々はどんな示唆を受けるでしょうか?
1)新しい商品/事業の方向性の一つとして
上に特徴を記載しましたが、特徴部分を自社製品に当てはめてみて、開発余地を探ることが出来ます。思考実験の道具です。
2)自分自信のあり方を考える
競争しないのは、「市場シェアを追わない」ということでした。「身の丈」といいますが、右肩上がりを要求されたりして疲れてはいませんか?
競争しないことは「儲かる」ではありますが、規模は拡大しないものです。
でも、代わりに得られるものがあります。ユーザーやお客さまの深い喜びを得られます!数少ないお客さまを相手にすれば、お客さまの反応がダイレクトに感じられます。お客さまの歓びを得られるのは何者にも代えがたいと思います。
市場シェアなのか、お客さまの歓びなのか、二者択一ではないものの、自分の会社や人生にとって、大切にしたい価値観はなにかを考えさせられることだと思っています。
次回は、ダントツ化フレームワークのもう一つである、「任せない」を見ていきましょう。