アイデア量産体制 ~未来を造る人になる#26~

こんにちは、JOSUIの中村です。

新規事業・研究開発リーダーに向けたメールシリーズ「未来を造る人になる」の第26回です。

今回は、「アイデア量産体制」というテーマで書きました。

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アイデア量産体制は、多様性から。

■セミナーでアイデアに関するお悩みに直面しました

先週から、3回のセミナーを実施しました。全て新規事業や研究開発部門向けです。
セミナーを実施すると必ずアンケートをとるのですが、ここ3回のアンケートには気になる回答がありました。
今日はそれを取り上げたいと思います。

それは、「なぜこのセミナーに関心を持ったのですか?」という質問に対する回答です。
集計はしていないものの、こういう回答が多かったように記憶しています。

「アイデア量産体制を作りたい」

というものです。

また、3回のセミナーのうち、ステージゲート法運用の悩みもお聞きしました。

「ゲートキーパーが厳しすぎてテーマが枯渇した」という企業が散見されました。

ステージゲート法もそうですが、新規事業開発のマネジメントにおいて、アイデアは多産多死とならざるを得ません。新規事業に取り組もうとする組織は全て、アイデア量産体制を構築する必要があるのです。

■問題は何?

アイデア量産体制は、いうなれば仕入れです。材料の調達と同じです。
これをどうするか、が問題なのです。

仕入れにおいて、一括購入で安くするという方式がよくとられます。確かに、コモディティであれば、こういう調達は安くするという目的において、理にかなっています。

しかし、事業開発テーマになりそうなアイデアは、安く買うことは目的ではありません。テーマになりそうな、価値の高そうな情報を仕入れるのが目的です。

百貨店のバイヤー、宝飾品のバイヤーがそうであるように、価値の高そうなものを買うバイヤーは、目利きである必要があります。
また、レアメタルや石油・LNGに代表されるように資源の購買は自ら危険を顧みずに現地に赴いて仕入れなければなりません。

新規事業開発でも同じです。苦労してでも・高いお金を支払ってでもいい情報を入手すべきなのです。

■苦労やお金で何ができるのか?

新規事業開発においては情報を入手すべきですが、アイデア出しやテーマ出しにおいては、調査にこそお金を使うべきだと考えています。

調査とは、技術的な調査も含まれますが、市場での調査です。あるいは、エンドユーザーとのコネクションの確立のための費用の支出です。

例えば、BtoBtoCのビジネスをしている場合、Cのニーズを掴まなければ、川上のBの会社は高付加価値の開発テーマをつかめないのです。

Cのニーズをつかめるだけの体制や組織があるでしょうか?研究者がラボを出て、Cの所に行き、時間をタップリとつかって調査が出来ますか?そのことに予算が付けられますか?

■多様性の確保

もう一つ重要な事は、価値観の多様性だと思います。

異なる価値観を持った人、表現を過激にすれば、「変人」、「変態」、「エイリアン」「ギーク」が社内にいるでしょうか?

こうした人々がどのように処遇されているでしょうか?

日本の会社は、ものづくりの産業に慣れていますので、採用、昇進等の人事プロセスが画一的になりがちです。価値観の多様な人が採用され、在籍し続けられる仕組みかを考える必要があると思います。

価値観が異なれば、必ず、必要となるものも変わります。その違いに気づく事こそが、アイデアの源泉になるからです。

例を挙げましょう。
業績好調な電気系の大手企業の研究所に行ったことがありますが、非常に面白かったです。スーツを着ているのは私だけ、社員の皆さんはジーンズを含めラフな格好なのですが、さらに言えば「変人」のような印象を受けました。

着ぐるみ、ヘッドギアのようなもの、色眼鏡、様々な変人グッズに彩られ、でも楽しそうにしている感じを受けました。それを見て思ったのです。この自由さこそが、この会社が業績のいい理由だなあ、と。

■楽しみましょう

アイデアがでないと苦しむのではなく、アイデア量産体制を創りだすのを楽しもうではありませんか?
それは、多様性を認めることです。自分の知らない世界を知ることです。

旅行に行って異文化体験が毎日出来れば、楽しくて仕方がないのと同じように、アイデアを量産するために、日々自分の知らない情報と接することは、毎日を楽しくさせると感じています。

通勤ルートを変える、食べるものを少し変える、日常を少しだけ変えてみませんか?

そうして、インプットを変えると、アイデアも変わるし、自分のココロがポジティブになるのを実感してください。そうすれば、多様性やインプットの質の変化がもたらす重要性に気づくはずです。