差別化要素とコンビニエンスストア

ここ10年くらい、コンビニ各社の差別化戦略が明確になってきたと感じます。調べてみたところ、実はコンビニエンスストアという業態はここ数年も一貫して伸びていました

一般的に伸びる市場では差別化などしなくても需要に追い付くための供給を増やすだけで売り上げを伸ばして行けます。しかし、コンビニ市場では伸びが鈍化し、全国的に店舗数も頭打ちが見えています。

それを受けて、ここ数年、各社のターゲットの違いや差別化ポイントが鮮明になってきました。

例えば、セブンイレブンでは高齢者を主なターゲットとして弁当のラインナップを揃えていますし、最近では宅配サービスを始めています。7-11では、戦略を文書化していましたので、魚拓を取ってみました。詳しくはこちらをご覧ください。
ファミリーマートでは、映画やアニメキャラクターを使用したキャンペーンを打ち出しています。ここからは、若者をターゲットとしていることが分かります。
ローソンでは、「マチのほっとステーション」という標語のもとで、やや分かりにくいですが、店舗を機軸にしたサービス向上を目指しているようです。

コンビニの事例から明らかなように、企業は差別化ポイントを明確にしてターゲットからの支持を受けるように戦略を打ちます。このようにしなければ、簡単な価格競争となって利益率を確保できないようになるためです。コンビニの業界でも市場の伸びが限られた中でやむをえない選択と言えるかもしれません。

コンビニエンスストアのような我々消費者にとって身近で分かりやすい業界では、このような差別化も明確に感じ取れます。コンサルタントの仕事をしていると、「差別化が難しい」という言葉をよく聞くのですが、本当にそうかと首を傾げる事が多くあります。

実は、他社との違いを打ち出しにくいのはターゲットが明確に定まっていないからであって、ターゲットを明確に定められないのはターゲットを定めて差別化ポイントの仮説を出すことを繰り返していないだけなのです。繰り返して仮説をブラッシュアップしないと、差別化要素は生まれません。

思い付きでいきなり筋の良さそうな仮説が出てきても、実は重要な前提条件が欠けている場合はよくあります。

こうした経験を踏まえて、私自身も自らの差別化を考えています。自らの差別化要素を明確にすることを怠らないようにしたいものです。